コンピュータ実習で使えるソフトウェアとテクニック

1 はじめに

   教師がパソコンを利用して授業を展開する際に,生徒実習用パソコンにファイルを転送させたり,実習中において生徒実習用パソコンの画面を観察したり,教師用パソコンの画面を生徒に提示させたいと思った時,なかなか都合良くいかないで困ったということも少なくはないかと思います。
   本コンテンツでは,コンピュータ実習を進めるにあたり、教師のための実習用テクニックとして、ソフトウェアを紹介していきます。本コンテンツ内では下記のように,教師用のサーバパソコンを「T-server」,生徒実習用のパソコンを「PC1」名で説明していきます。各学校での利用の際は,学校のネットワーク環境に合わせた名称に変えて使用してください。また、ここでは生徒実習用パソコンを3台として説明いたします。

   また各生徒用パソコンには,ハードディスクのCドライブがシステム用,Dドライブがデータ用として準備されているものとします。これは,2台のハードディスクを使用した場合,もしくは1台のハードディスクに対してパーティションを分けている場合でも同じです。一般的には,生徒の作成したデータはドライブDに保存しておくことが多いと思われるので,本ページでもその設定を使います。

   ここでは,ドライブの共有名は「DATA」にしています。標準でDドライブに共有設定を行うと共有名は「D」になります。今後の説明をしやすくするために,ドライブはDドライブで,共有名は「DATA」として区別することにします。

   図1 このページ内での接続俯瞰図


2 実習室にあるパソコンの準備

   (1) 複数のパソコンに空のフォルダ作成

   年度当初,実習室のコンピュータのディスクをクリーンにして新年度の生徒用の文書フォルダを作っておくケースは多いでしょう。このとき生徒用のコンピュータ1台1台を回ってフォルダの新規作成をするのは大変手間です。ネットワークにつながれたコンピュータならば,先生用サーバから一括でフォルダの新規作成が行えます。この作業には特別なソフトウェアは不要です。OSのWindowsがもともと持っている機能でできてしまいます。

   それでは生徒用パソコンのデータディスクであるDドライブ(共有名DATA)に,クラス名(A11とA12)の二つのデータフォルダを作成する例を紹介します。

   ここでは教師用パソコンでバッチファイルを作り,それを実行する手段で説明します。バッチファイルとは,Windowsなどのパソコンでコマンド(命令)を順番にテキストとして記述したものです。実行するとその文字列をWindowsが順に処理することになります。

   スタートメニューから「メモ帳」(notepad.exe)を起動します。そして次のように記述します。

   mkdir \\PC1\DATA\A11
   mkdir \\PC1\DATA\A12
   mkdir \\PC2\DATA\A11
   mkdir \\PC2\DATA\A12
   mkdir \\PC3\DATA\A11
   mkdir \\PC3\DATA\A12

   ここで使用しているmkdirコマンドはディレクトリ(フォルダ)作成のコマンドです。「mkdir ドライブ名 パス名」で記述します。このコマンドを使うと2行だけ記述してあとはコピー&ペーストで書いてしまえるので楽です。このファイルを「ファイル名を付けて保存」します。ファイル名は何でも良いのですが,例として「classfolder.bat」とします。拡張子は.bat にします。保存する場所はどこでもかまいません。

保存すると右のようなアイコンが作成されます。これを実行すれば,生徒用PC1〜PC3までのパソコンの各Dドライブに「A11」と「A12」の二つのフォルダが作成されているはずです。

   (2) 複数のパソコンにデータの入ったフォルダ作成

   空のフォルダを2つ作る程度ならばmkdirコマンドを使ってできますが,下の例のようにそれぞれデータファイルの入った10人分のフォルダを作成しようとすると少々大変です。そこで今度は先生用サーバにコピー元のフォルダとデータを作成しておき,それをまとめて転送コピーすることにします。

   まずは教師側のパソコンにコピー元フォルダを作ります。例ではマイドキュメントフォルダ(c:\My Documents)の中の「send2pc」という名前のフォルダにしました。
   そのフォルダに「新規作成」でフォルダを作り「01」という名前にします。01フォルダに必要なファイルをコピーしておきます。例では「使用マニュアル.pdf」と「校章.jpg」というファイルと,先生用サーバに作成した「生徒データ」というフォルダへのネットワークショートカットの3つにしました。
   この01フォルダを9人分コピーします。「コピー〜01」〜「コピー(9)〜01」というフォルダができるので,それぞれ名前の変更をして「01」〜「10」というフォルダにします。それぞれのフォルダには前述の3つのファイルがおいてあるはずです。これを生徒用パソコンのDドライブに作った「A11」「A12」のフォルダにコピーします。

   図2 フォルダの中身ごとまとめてコピー

   スタートメニューから「メモ帳」(notepad.exe)を起動し,次のテキストを書き込みます。

   xcopy "c:\My Documents\send2pc" \\PC1\DATA\A11\ /e
   xcopy "c:\My Documents\send2pc" \\PC1\DATA\A12\ /e
   xcopy "c:\My Documents\send2pc" \\PC2\DATA\A11\ /e
   xcopy "c:\My Documents\send2pc" \\PC2\DATA\A12\ /e
   xcopy "c:\My Documents\send2pc" \\PC3\DATA\A11\ /e
   xcopy "c:\My Documents\send2pc" \\PC3\DATA\A12\ /e

   名前を付けて保存をします。ここでは「copyfolder.bat」にしました。拡張子は.batです。
   このバッチファイルを実行すれば,まとめてコピーしてくれます。
   xcopyはディレクトリ(フォルダ)コピーのコマンドです。「xcopy 送り側 受け側 スイッチ」で記述します。スイッチはこの例では/eを使いました。これはフォルダが空でもコピーするスイッチです。コマンドとスイッチの詳しい解説はここの他にもいろいろあります。

   (3) 複数のパソコンにファイル一括転送

   実習中に生徒達のパソコンにデータを転送することはよくあります。いくらバッチ処理が簡単でも毎回バッチファイルを書き換えるのは面倒です。

   そこで先生用サーバに転送元フォルダ(例ではcopyorigin)を一つ作成しておき,コピーするファイルをそのフォルダに置けば毎回同じバッチ処理でコピーが可能になります。

   図3 フォルダの中身を生徒用パソコンに一括コピー

   PC1のパソコンのA11フォルダ内の01〜10までのフォルダに,先生用サーバのcopyoriginフォルダの中身をすべてコピーするバッチファイルです。 これを台数分コピー&ペーストしてバッチファイルを作ります。

   copy "c:\My Documents\copyorigin\*.*" \\PC1\DATA\A11\01
   copy "c:\My Documents\copyorigin\*.*" \\PC1\DATA\A11\02
   copy "c:\My Documents\copyorigin\*.*" \\PC1\DATA\A11\03
   copy "c:\My Documents\copyorigin\*.*" \\PC1\DATA\A11\04
   copy "c:\My Documents\copyorigin\*.*" \\PC1\DATA\A11\05
   copy "c:\My Documents\copyorigin\*.*" \\PC1\DATA\A11\06
   copy "c:\My Documents\copyorigin\*.*" \\PC1\DATA\A11\07
   copy "c:\My Documents\copyorigin\*.*" \\PC1\DATA\A11\08
   copy "c:\My Documents\copyorigin\*.*" \\PC1\DATA\A11\09
   copy "c:\My Documents\copyorigin\*.*" \\PC1\DATA\A11\10

   名前を付けて保存します。たとえば「copyfiles.bat」など。拡張子は.batです。
   このバッチファイルを実行すれば,copyoriginフォルダの全内容がコピーされます。コピーし終えたらcopyoriginフォルダの中身は削除しておきましょう。またこの例ではA11というクラスに対してのバッチファイルになっています。クラス毎にバッチファイルを作っておいて,「copyA11.bat」「copyA12.bat」などという名前で保存しておけば,クラス別にコピーが可能です。

   (4) 実習用パソコンの時計をサーバと同期

   パソコンの内蔵時計は精度が低く狂いやすいものです。WindowsXP以降は自動的にインターネット上の時刻サーバ(NTPサーバ)にアクセスして時刻を補正してくれる機能も持っています。ここでは先生用サーバの時計をNTPサーバで定期的に補正し,生徒用パソコンからは先生用サーバをNTPサーバとして先生用のサーバから時刻をコピーする方法を示します。

   時刻補正フリーソフトは「桜時計」が大変有名です。非常にわかりやすいインターフェースで機能が高いため,これを生徒用パソコンのソフトウェアとして使用します。先生用サーバは「iネッ時計」というフリーソフトを使用します。これはWindowsXP以降だとファイヤウォール機能によってNTPが使用するネットワークポート(port:123)がブロックされているためです。詳しい人ならばセキュリティの設定を変えてポートのブロックを解除できますが,「iネッ時計」ならインストール時に自動的にこのポートを開けてくれるためです。またインターネット上のNTPサーバの登録数も多いため,設定が楽です。

   最初に先生用サーバのコントロールパネルから「日付と時刻」を選び,「インターネット時刻」タブの「自動的にインターネット時刻サーバーと同期する」のチェックをはずしておきます。
   次に先生用サーバに「iネッ時計」をダウンロードします。このとき自動的に「iネッ時計 NTPサーバ」もダウンロードされます。
   ダウンロードしたソフトを実行するとインストールが始まります。日本語検索「JWord」のインストールが促されることもありますが,「iネッ時計」の使用には不要です。インストールするかキャンセルするかはご判断ください。
   スタートメニューから「iネッ時計」を選択すると「iネッ時計 NTPサーバのセットアップ」がありますので,これを実行しサーバを立ち上げます。

   まず「iネッ時計」を起動すると最初にWindowsセキュリティによるポートブロックの解除のメッセージが出ます。画面にしたがってブロック解除が終わると初期設定のNTPサーバに接続し時刻の補正が行われます。これで先生用サーバの時刻補正は終了しました。以降は接続サーバ一覧から近隣のサーバの優先順位を上げておけば次回からそのNTPサーバに接続をします。

   生徒用パソコンには「桜時計」をインストールします。ダウンロード後に適当な解凍ソフトで解凍すると「skrw021」フォルダの中に「SKRWATCH.exe」があるので,「readme.txt」を良く読んだ後これを起動します。

   図5 桜時計設定例(IPアドレスは見本)

   NTPサーバは先生用サーバの「iネッ時計 NTPサーバ」なので,先生用サーバのIPアドレスを打ち込みます。上の例ではローカルアドレスである「192.168.12.1」になっています。これは実際のパソコンのアドレスを入力してください。「起動時にオンラインにする」「常駐する」はONにし,「SNTPサーバとして動作する」はOFFにしておきます。またサーバとの同期はデフォルトでは10分毎になっていますが,実習時間1時間に1回でも充分なので長めにしておきます。また生徒用パソコンには「桜時計」をスタートアップに登録し,パソコン起動後すぐに先生用サーバの時計と同期するようにしておくとよいでしょう。


3 教師用パソコンに使えるソフトウェア

   プロジェクタを利用して教師用パソコンの画面を提示しながら実習を行うことはよくあります。プロジェクタの利用法については,こちらのページを参考にしてください。このページではプロジェクタで提示している時に使うと便利なツールを紹介します。

   (1) 画面の一部分を拡大するソフトウェア

   一般的にパソコンの画面サイズは1024×768pixel(XGA)や1280×1024pixel(SXGA)といった解像度で使用することが多いと思われます。市販のアプリケーションソフトもこの程度の解像度を想定してあります。この解像度で表示された画面をプロジェクタで投影すると,どうしても文字やアイコンなどが小さくなり,実習中に部分的に拡大して表示したいと思うことはよくあるでしょう。プロジェクタのズーム機能にも限界がありますし,うまい方法があればと考えていた方に,次のデスクトップ画面拡大のための二つのツール「izoom」と「MeGaZoom」を紹介します。

      ア iZoom

   IGA氏の作成したフリーウェアです。特徴はマウスホイールでズームインとズームアウトが可能なこと,半透明表示が可能なことなどがあります。
   ソフトウェアをダウンロードして適当なフォルダに解凍するとすぐに使えます。起動すると小さなウィンドウが開き,マウスの周りの画面が拡大されて表示されます。拡大率は設定画面やマウスホイールの回転,キーボードなどから変更できます。また外にも画面キャプチャ機能や一時的に拡大ウィンドウをよける機能もあります。上は通常の拡大画面です。下は半透明表示にした画面です。半透明表示はややコンピュータに負荷がかかりますが,使い方によっては非常にありがたい機能ともいえます。

   図6 iZoom拡大画面(通常)
   図7 iZoom拡大画面(半透明)

      イ デスクトップの拡大鏡 MeGaZoom

   「iZoom」と同様にbaruth氏の作成した,デスクトップ画面を拡大してウィンドウに表示するツールです。こちらはマウスカーソルの周辺を拡大する追従モードと,常にある場所を拡大する固定モードが切り替えられます。また拡大率も画面の+−ボタンですぐにでき,SHIFTキーを押すと一時的に拡大ウィンドウを非表示にもできます。下が実行中の画面です。「iZoom」の画面とほとんど変わりません。

   図8 MeGaZoom拡大画面

   どちらのツールもほぼ同様な機能を持っていますので,自分の実習指導のスタイルに合った方を選んでください。デスクトップ拡大ツールはこの他にもいくつかありますので,ネット上で探してみてください。

   (2) 画面上にマウスなどで絵を描くツール

   プロジェクタで表示している画面の一部分を強調するために,画面にマーキングをしたくなる場面もあります。このようなときは次に紹介するデスクトップ画面用のペイントソフトを使うと便利です。ここでは「DisplayPainter」を使ってみます。

   「DisplayPainter」はその名の通り,デスクトップ画面にお絵かきするフリーソフトです。ダウンロードして解凍し,起動するとタスクトレイに格納されます。このタスクトレイのアイコンをクリックするか,設定でPrintScreenキーを割り当てておけばキーを押したときペイントモードになります。マウスカーソルがペンの形状になり,左ボタンドラッグで画面に自由に線が書けます。ペイントモードで右クリックをすると,右図のようなカラー選択ダイアログが出てくるので,カラーや消しゴムモードを選べます。ペイントモードはESCキーを押すなどして簡単に解除できます。

   図9 DisplayPainter 色選択ウィンドウ

   図10 DisplayPainter使用例

   ペイントモードを解除すれば,それまでに書いた線もすべて消えます。プロジェクタなどに映し出した画面を使って実習指導を行うときに大変便利です。


4 ネットワークを使って実習用パソコンを管理

   少人数ならともかく,20人を超えるような人数でパソコン実習を行っていると,様々なトラブルに遭遇します。操作法が分からなくて困る生徒,違う操作を行ってしまっている生徒…など。一般的な実習室は生徒達のパソコン画面は教卓側から見にくい配置になっていることが多いと思われます。操作法を教えるために,何台ものパソコンをめぐって一人一人に説明したりするのは大変です。
   そこでLAN環境を利用して,実習を効率的に行えるようにするためのソフトウェアを紹介します。

   (1) 実習用パソコンをリモート操作

   実習で複雑なキー操作やマウス操作を伴う作業をしている最中に,生徒から操作法に関する質問があったときに口頭でその操作の説明をするのはなかなか困難なときがあります。もちろん実習をしている生徒の席に行って作業を指導すればよいのですが,もっと簡単な方法を使いませんか。簡単な方法とは,生徒のパソコンの操作権を切り替え,先生用サーバから生徒のパソコンをリモート操作する方法です。これをVNC( Virtual Network Computing )とよびます。悪意があるわけではないのでクラッキングではありませんが,パソコンのセキュリティソフトはこれを危険なソフトとしてブロックしてしまうこともあります。実習ではインストール時にブロックを解除して使うのですが,一つ間違えるとクラッキングウェアになりかねないので,使用には注意が必要です。

   図11 VNC−先生用サーバからビューワで見ながらリモート操作

   さて「RealVNC日本語版」は日本語環境で使えるVNCソフトで,フリーウェアです。「RealVNC」はRealVNC氏が作成したソフトウェアですが,UnderDone氏(あんでるどん氏:日本人)が日本語化したものを配布しています。実行形アーカイブ(vnc-4.0-x86_win32.exe)をダウンロードしてセットアップするとき先生用サーバにはビューワを,生徒用パソコンにはサーバをインストールします。少々わかりにくいですが,生徒用がサーバプログラムになります。

   サーバプログラムはWindowsのサービスモードとユーザーモードを選択して起動することができます。サービスモードでの使用が一般的です。サーバプログラムにも様々な機能があります。

   図12 RealVNC 設定画面例

   パスワードの失念などの無用なトラブルを避けるため,実習ではサーバ側の認証や暗号化は行わない方がよいでしょう。その他の機能は必要に応じて設定してください。

   先生用サーバではビューワを起動します。

   図13 RealVNC ビューワ設定画面例(IPアドレスは見本)

   接続詳細の画面が出るので,生徒用パソコンのIPアドレスを入力します。OKボタンを押せば,そのパソコンの画面が先生側のディスプレイにウィンドウとして現れます。この時点で生徒側のパソコンの操作権は先生側にうつります。生徒側にも同じ画面が写っていますので,先生側で操作している動きはそのまま生徒側のディスプレイにも表示されており,生徒はそれを見ながら学習することができます。先生側でこのウィンドウを閉じると操作権は生徒のパソコンに戻ります。

   これを使えば,操作法が分からなくて困っている生徒に対し,パソコンの前まで行って操作しなくても先生側のパソコンから具体的な操作指導が行えます。VNC関連のソフトウェアは他にも何種類もありますので,気に入ったものを試してみてください。

   (2) 実習用パソコンの観察と制御

   実習中に生徒達の作業の進行状態を確認したいが,教卓から離れて机間巡視をしながら確認することが困難な場合もあります。ネットワークを使って生徒達のパソコンの画面を確認する方法を求めていた先生には,次のようなソフトウェアを紹介します。

   「今,何してる?」はネットワーク上の他のパソコンの画面を確認したり,簡単なリモート制御を行うソフトウェアです。このソフトウェアについてはこちらのページでも詳しく説明していますので,ここでは簡単な紹介にします。
   ソフトウェアをダウンロードして,先生用サーバには「今,何してる?」のコントローラプログラムをインストールします。生徒用にはクライアントプログラムをインストールしますが,インストールには通常のインストール法とステルス(隠密)インストール法の2種類が選べます。生徒達に知られないようにプログラムをサービスとして起動させるためには,ステルスインストールを選びます。この場合生徒用パソコンは起動と同時にサービスとしてクライアントが起動し,常駐します。先生側はコントロールプログラムを起動すると,自動的にクライアントと通信しクライアントの管理が可能になります。

   図14 今,何してる? で生徒画面確認

   コントロールからは,選択したクライアントパソコンの画面キャプチャ画像を見ることができます。キャプチャタイミングも1秒からできるので,ほぼリアルタイムに生徒用パソコンの情況を知ることができます。またクライアントを複数選択し,まとめてキャプチャ画像を見ることもできます。この場合,キャプチャタイミングはやや遅れますが,複数のパソコンの情況を一目でつかむことができます。
   また,クライアントに簡易なメッセージを送信したり,クライアントパソコンのいくつかの機能をリモートで操作することができます。このためセキュリティソフトはほとんどの場合これを危険なソフトとしてブロックしようとします。インストールの際にはセキュリティソフトのブロックを解除する必要もあります。

   (3) 教師用パソコンからキーボードとマウスを遠隔操作

   VNCを使うと,パソコンの動作をリモート側に渡しディスプレイの画面もリモート側に渡して,操作全般をリモートに渡すことになります。しかし場合によってはキーボードやマウスの簡易な動作だけをリモート側に渡す程度の作業ですむこともあります。VNCはお互いのコンピュータやネットワークの負荷もかかりますが,画面情報を送らずにキーボードやマウスの情報だけをリモート管理すれば非常に簡易に作業を行うことができます。

   もともとは家庭内のネットワークで複数のパソコンを一つのキーボードとマウスから操作するために作られたソフトですが,使いようによっては実習に応用することができます。「Sチェンジャー」や「Remote Saucer」などいくつかのフリーソフトがありますが,ここでは「Sチェンジャー」を紹介します。

   「Sチェンジャー」は愛とゆり氏の作成したフリーソフトです。最大12台までのコンピュータでキーボードとマウスを共有して使うことができます。ダウンロードして解凍し,SChanger.exe を実行します。このソフトもウィンドウズのセキュリティが危険なソフトとしてブロックをかけているので解除する必要があります。先生用も生徒用も同じプログラムを実行します。実行するとタスクトレイに格納されるので設定を開きます。

   先生用はローカルPCをチェックします。そして操作するリモートPCの名前(IPアドレスよりも名前が望ましい)をPC名(ホスト名)の欄に記入し登録してゆきます。最大12台まで登録できます。ローカル用の設定タブを開けば詳しい設定ができますがデフォルトで普通に使えます。

   生徒用はリモートPCをチェックをします。そしてPC名(ホスト名)の欄に先生用サーバの名前を記入し,接続を許可するPCに登録します。この他の設定はありません。

   図15 先生用PCの設定例
   図16 生徒用PCの設定例

   先生用と生徒用のSチェンジャーが起動すると,先生側のホットキーを押すだけで生徒用のパソコンのキーボードとマウスの操作権を移せます。クリップボードの内容のコピーも行えるようになっているので,ネットワークを介したデータのコピーも簡易にできます。ホットキーをもう一度押すと通常のモードに戻ります。接続するパソコンの切り替えもキーで切り替えるか,タスクトレイのアイコンから簡易に可能です。


5 おわりに

   以上,いくつかのソフトウェアを紹介しましたが,これらのソフトウェアについて,補足事項を列記しておきます。    「桜時計」は,メモリ使用率も低くファイルサイズが小さいため,常駐させて使用してもほとんど問題ありません。
   「iネッ時計」も同じくメモリ使用率とファイルサイズが小さいので,問題なく使用できると思います。
   「iZoom」は,ファイルサイズが非常に小さいですが,使用時にややメモリ使用率が高くなります。特に半透明表示にしたときは,パソコンの性能によっては,動きが悪くなることもあるでしょう。
   その点,「MeGaZoom」はファイルサイズもメモリ使用率も低く,常駐させて使用してもほとんど問題ありません。
   「DisplayPainter」もファイルサイズ,メモリ使用率ともに低く,常駐させてもほとんど問題ありません。
   「RealVNC」 は,ややファイルサイズが大きめです。VNCモードでリモート操作をしているときは,メモリの使用率もやや高くなります。
   「今,何してる?」もややファイルサイズが大きいですが,個別パソコン画面観察の他,複数パソコン画面一括観察モードや,いくつかのコマンドをリモートで生徒用パソコンに送れるなど,機能は充実しています。
   「Sチェンジャー」は,ホスト側とリモート側ともにファイルサイズとメモリ使用率が低いので,ほとんど問題なく使えます。リモート状態の時にややメモリ使用率が高くなります。
   「RemoteSaucer」 もファイルサイズとメモリ使用率ともに小さく,常駐して使用してもほとんど問題ありません。

   本文中でも紹介したように,画面やキー操作をリモート操作できるようにするソフトウェアは,セキュリティソフトが悪意のあるソフトウェアとして機能をブロックしてしまう場合があるため,あらかじめセキュリティソフトの設定で,使用を許可しておく必要があります。
   また,ここで紹介したソフトウェアを複数インストールして使う場合,OSのバージョンやパソコンの性能によっては常駐時のメモリ使用率が高くなり,動作が遅くなる場合があります。また,これらのソフトウェアは単独で動作するため,ソフトウェアを複数常駐させて使用しても,お互いが影響し合って動作が不安定になるような現象は,少ないと考えられます。今回の動作確認結果では,動作が不安定になるような現象は起こりませんでした。


参考資料

   桜時計 作者 宇野 信太郎氏のホームページから
   iネッ時計 作者 Pino氏のホームページから
   iZoom IGA's workshopから
   MeGaZoom 作者 baruth氏のホームページから
   DisplayPainterAndanteのページから
   今,何してる?作者 大泉 真一氏のホームページから
   Real VNC(英語)Real VNCのホームページから
   Real VNC(日本語)あんでるどん氏のブログから
   Sチェンジャー 愛とゆりのホームページから
   RemoteSaucer arakenのホームページから