こんなふうにしてみたら     

☆ ADHDの子供を支援するときの基本姿勢
 ADHDの子供を支援するときの基本姿勢は二つあります。

 一つ目は
「自尊心の維持・向上〜子供のプライドを大切にする」ことです。
 ADHDの子供たちは,自分の価値を評価し,自分を大切にしようとする気持ち(自尊感情)が弱い子が多いようです。自尊心が低くなると,自分に自信がなくなり,マイナス思考になっていきます。自分は人から大切にされていない,大切にされる資格がないと思い込んでしまいます。さらに不登校,引きこもり,うつ状態などの二次障害につながる場合もあります。  
 子供たちの自尊心を維持・向上するために,子供が分かるように褒める工夫も大切です。頭ごなしに大きな声でしかる,他の子供たち(兄弟・友達)の前でしかるというような行為は避けたいものです。担任以外の教師から頭ごなしにしかられてしまい,自尊心を低下させてしまうこともありますので,教師間の共通理解・家庭との連携は,特に重要です。

 二つ目は「自信をもたせる」ことです。
 ADHDの子供たちは,何倍もしかられています。言い換えると,
 ・「動いちゃだめ」
 ・「何度も同じことを言われているのが分からないの」
 ・「だめな子」
 ・「どうして,そんなことをするの」(理由を追及)
 ・「それぐらい自分で考えなさい」

  などの,「否定的メッセージ」を幼少期から多く受けてきているということです。

 自信をもたせるために,否定的メッセージを送らないことが大切だと思います。
 そのため教師の話し方の工夫も必要です。
 
「指示」や「注意」は,丁寧に短くはっきりと行い、特に「注意」する際は,どうしたらよいかを簡単に具体的に示すことが大切です。

☆ 適切な行動を意識させるための工夫
 言葉や文字だけの情報でADHDの子供たちに学習のルールや社会生活に必要なルールを教えるのは,かなり無理があり,行動が混乱するもとにもなります。この場合,カードなどを使ってルールを視覚的に理解しやすくする。または,「指切り」など体を使って約束のイメージがもてるようにする方法がよいと思います。 

 例えば,きまりや約束を簡単なリストにして子供の見えるところに提示します。
 これにより,子供はリストを見て自分で確認しながら行動することができます。
  

       例1 《やくそくをまもってべんきょうをしよう》

  や   く   そ   く ○,△,×
1 せきにすわる  
2 さいごまで はなしをきく  
3 やさしく はなす  
*ぜんぶ ○がついたら しょうじょうが もらえるよ!

       例2 《朝,学校にきたら・・》
 ランドセルから学習用具を出して,机の中に入れる  
 連絡帳を先生の机の上に置く  
 ナフキン袋を机の横にかける  
 ランドセルを自分のロッカーに片付ける  
*できたところに青色の磁石を置きましょう!
☆ 多動な子供への対応
 多動性を統制するために,子供がどれくらいの注意集中時間があるかを把握しておくと,的確に子供に言葉を掛けたり,課題を確認し,切り替えたりすることができます。

●一日の生活の中に体を思い切り動かす時間を設ける
●授業中,動き出しそうになったら,時間を決めて離席を認める 
●休み時間に運動場で走る,鬼ごっこをする  

  
 などして多動性を発散させることが効果的です
 
 
 また,担任だけで対応できないときは,独りで悩まず,教師間で連携をとって対応するようにしてください。

☆ 衝動的な行動をする子供への対応
 ADHDの子供は,衝動的な行動(自分の話題に敏感に反応する,物を振り回す,友達にちょっかいを出すなどの突発的な行動)をすることがあります。教師はそれらの行動を理解する感性をもちあわせたいものです。
 また,衝動性を抑えるのに次のような教師の言葉も効果的です。
 ★ 子供を勇気付ける言葉
   ・「どうしたかったの」
   ・「こうすればいいよ」
   ・「今度から,こうしようよ」
   ・「カッとなる前に,先生に教えてね」
   など
 
  
☆ 教室環境の配慮
 ADHDの子供は,ささいな刺激でも敏感に反応し授業に集中できないことがあります。そのために次の点に留意してください。


● 教える内容を示す図や表は,単純かつ明確にする
● 教室環境は,すっきりと整える
● 机の上の整理・整頓をする
● 具体物の提示は精選し,多すぎないようにする
子供の座席は,窓際,廊下側など刺激の多い場所は避けたいものです。

☆ 長所を生かした指導
 ADHDの子供は,自分の好きなこと,興味のあることについては,何時間でも夢中になって取り組む傾向があります。この傾向を,指導の中で生かせるとよいでしょう。 
 例えば,絵を描くことが好きな子は,絵を描く時間をつくり,出来上がった作品を教室に掲示します。ADHDの子供は,自分の活動に満足するとともに学級の友達から褒められる場を得たことで,自分に自信をもち,更に活動が広がります。 
 ADHDの子供の指導は,「できないことをできるようにさせる」という考え方ではなくて「できることをよりできるようにする」という考え方の方が子供と教師の間に緊張感が高まらず,よい方向に向かうケースが多いようです。
 教師が,子供の指導に力を入れれば入れるほど両者の間に緊張感が高まり,どちらにもストレスがたまることがあります。教師が感情的になると,つい言葉もきつくなり,怒りを子供に向けやすくなるものです。教師はゆとりをもって子供に接することができるように心掛けてください。
ADHDの子供は,感性が豊かな子が多いです。

教師は,その子供の豊かな感性を感じ取り共有しようとする気持ちをもちたいものです。
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