中学校における
「総合的な学習の時間」
活動実践例
ビッグアートへの挑戦

 本学級は,中学校知的障害生徒5名で構成されている。生徒たちは,毎日の学校生活の中で,クラスという集団の一員であることをそれぞれが自覚し,和を意識した言動がとれるようになってきている。最近では生徒たちの中から「思い出に残るような何かをしようよ」などの声も聞く。子供たちはそれぞれクラスに対する思いをもち,その思いをみんなに伝えたいという気持ちがあるのだ。そこで,クラスに対する思いを絵で表現しようという時間を設けた。自分が何を表現しようとしたのかも説明できるようにさせ,お互いに発表し合った。それが発展し,クラスの子それぞれの思いが反映したひとつのビッグアートを作成しようとまとまっていった。ビッグアートが完成したとき,みんなでつくり上げた喜びを味わえるとともに,学級の和も深まるにちがいない。そして今まで以上に,みんなで協力して何かを作ろうという気持ちを強くもつようになるだろうと考えた。

クラスのよいところを見付け,それを絵に表現する。また自分が何を描こうとしたのかを,他の人に説明できる。(表現する力)
絵にこめた友達の思いや表現を知って,自分なりの絵を見つめ直す。(理解する力)
ビッグアートで何を作るか話し合い,意見を述べる。(興味・関心,意欲)
役割分担にしたがって,自分の作業をスムーズに進める。(技能,協力する態度)

  

活  動 時間 内  容
自分の思いを絵にしよう クラスのよいところを発表する。そしてその思いを自分なりの絵に表す。
絵について話し合おう 絵にどんな思いをこめ,どのように表現したのかを発表させる。また友達の発表を聞いて,友達が絵にこめた思いをメモしておく。
自分の絵を見つめ直そう 自分の絵をもとにして,クラスのみんなの思いが反映したビッグアートの下絵を考え始める。
ビッグアートの下絵を完成しよう みんなの話し合いにより,ビッグアートのデザインを決める。
ビッグアートを作り始めよう 布で作り,壁に貼るビッグアートを作る。そのための役割分担を決め,作業に入る。
ビッグアートを製作しよう 協力しながら,ビッグアートの製作作業を進める。楽しく,安全に活動できるように配慮する。
ビッグアート完成 完成したビッグアートを掲示し,今までの活動を振り返る。

 人の思いをまとめていくのは,生徒たちにとって大変なことであったが,どの子も意欲的に取り組んでいた。クラスのよいところを発表させたあとで,ビッグアートの写真を例として見せたが,大いに刺激になったようだ。活動は上の表のような順序で進めたが,みんなのクラスに対する思いをまとめた上で絵に表現させていくのも一つの方法であろう。今回は布に絵を描くというビッグアートを製作したが,自分たちのクラスはこんなクラスです,という劇をやったり,ビデオ作成をしたりして,他のクラスに伝えていくという方法も考えられる。また,周りとのかかわりを見つめる面を大切にして,それを目標とすれば,さらに活動のバリエーションは増えていくだろう。完成したビッグアートは,体育祭で展示して,多くの人にも見ていただいた。

                                

 ねらいに示した観点に基づき個々の生徒の活動のよさをとらえるようにした。
     表現する力
     理解する力
     興味・関心,意欲
     技能,協力する態度