「財務諸表分析を用いた企業研究」


 科目の中の位置づけ


財務会計U(5)財務諸表の活用 ア 企業価値と財務諸表分析

 内容


1 ねらい

(1) 会計分野の総決算として,実在の企業の財務諸表分析によりケーススタディを行う。収益性分析・安全性分析・企業価値分析を通じて財務諸表を活用するための基礎的な知識と技術を習得する。

(2) 経営戦略を立てる上で、経年比較及び同業他社比較等により、当該企業の置かれている業種内でのポジションや経営の問題点を把握することの重要性を理解する。

(3) 分析や結果のまとめ、発表などをグループ(4人1組)で行うことにより,コミュニケーション能力を向上させる。

2 使用教材

(1) 分析対象企業一覧表
  以下の参照サイトより,指導者が適宜企業を選び,生徒に提示する。
  参照サイト:「Ullet」(http://www.ullet.com/)

(2) 財務諸表分析指標(Word 97-2003文書:38KB)
  以下の参照サイトより,連結貸借対照表と連結損益計算書などをダウンロードする。
  参照サイト:「EDINET」(http://info.edinet-fsa.go.jp/)

(3) ケーススタディ用ワークシート(Word 97-2003文書:92KB)

(4) プレゼンテーション評価票(Word 97-2003文書:38KB)

3 授業の展開方法

(1) 指導者が,あらかじめ企業情報サイトなどを参考に分析対象の企業名と業種を複数抽出して,一覧表を作成する。

(2) 4名で1グループを編成する。

(3) グループごとに業種を指定し,分析企業一覧表から分析したい企業を生徒に選ばせる。(分析対象の企業を選んだ理由を必ず考えさせる。)

(4) 企業の財務諸表分析を行う。後に経年分析をするため,過年度の分析も併せて行う。分析に使用する指標は「財務諸表分析指標」のプリントを参考にし,必要なデータを収集・計算させる。

(5) 経年比較及び同業他社比較を行う。

授業展開

時間配当(50分×6)

1時間目/6  HR教室にて

時間配当 学習内容 指導上の留意点
 20分
 ・グループを決める。

 ・担当業種毎に,分析対象の企業を決める。
 ・4人1グループを10グループ作ることを指導する。(2人で1社調べる)
 ・1業種につき2グループを割り当てる。(全5業種)
 ・分析対象企業一覧表の中から選ばせ、その際、理由を明確にさせる。
 30分  ・財務諸表分析に用いる指標について確認する。  ・財務諸表分析指標プリントに基づいて、それぞれの指標の求め方や特徴について,これまでの学習を振り返りながら説明する。

2時間目/6  実習室にて

時間配当 学習内容 指導上の留意点
 20分
 ・「Ullet」のウェブページを参考にし、分析対象企業についての概況を知る。
 ・ケーススタディ用ワークシートに企業の基礎情報について記入する。
 ・財務データだけではなく、様々なデータを見るよう指示する。

 ・机間指導により、生徒の作業状況を把握する。
 30分  ・「EDINET」から連結貸借対照表と連結損益計算書などをダウンロードする。
 ・ケーススタディ用ワークシートの各指標について計算する。
 ・机間指導により、生徒の作業状況を把握する。


 ・授業時間内に終了しないグループは次時までの課題とする。

3時間目/6  実習室にて

時間配当 学習内容 指導上の留意点
 25分
 ・グループワーク1(2人で)
 経年比較から、当該企業の特徴や戦略、経営状況を考える。
 ・生徒が活発に議論できるように、机間指導をしながら、必要に応じて助言する。
 ・各指標の経年変化のポイントを押さえた議論になっているか,注意深く見守る。
 25分  ・グループワーク2(4人で)
 グループ内で,担当の同業他社を比較し、違いや共通点を見付け、当該企業の業種におけるポジションや成長のための経営戦略を考察する。
 ・ここではグループワーク@を受け、同業他者を比較することで見えてくる各業種の特徴をしっかりと把握することを指導する。
 ・企業の強みや、弱点などに注目させ、今後の企業の成長のための経営戦略を生徒なりに考えさえる。

4時間目/6  実習室にて

時間配当 学習内容 指導上の留意点
 50分  ・グループワーク3(4人で)
 グループワーク2を基に、発表用のスライドを作成する。
 ・発表の役割分担を決める。
 ・指示事項
ア 発表時間は、各グループ5分
イ 分析結果や経営戦略をどのような順番で伝えたら分かりやすいかを考えて、ストーリーを先に作る。
ウ グラフ等を用いて視覚的に表現する。
エ レイアウトに気をつける。
  
 ・著作権について適宜触れる。
 ・引用先を明示するよう指導する。

5時間目/6  実習室にて

時間配当 学習内容 指導上の留意点
 50分  グループ発表1
 ・グループ発表を行う。(各5分)
 ・プレゼンテーション評価票の記入を行う。(各5分)
 
 ・発表の内容とともに、発表の様子についても評価させる。
 ・話し方と、聞き方にも気を配るように伝える。

6時間目/6  実習室にて

時間配当 学習内容 指導上の留意点
 50分  グループ発表2
 ・グループ発表を行う。(各5分)
 ・プレゼンテーション評価票の記入を行う。(各5分)
 
 ・発表の内容とともに、発表の様子についても評価させる。
 ・話し方と、聞き方にも気を配るように伝える。

 授業のポイント


1 分析対象企業一覧表の作成は、タイムリーな話題のある企業や就職希望先など、生徒の興味・関心が高い企業を選択するとよい。

2 分析結果や今後の経営戦略などで、生徒が発表するであろう内容をある程度見越した上で、業種や企業を絞り込んでおいた方がよい。

3 各グループでの経年比較の分析が、次の同業他社比較につながるため、この段階での間違いがないように机間指導などをじゅうぶんに行いたい。

4 比率等の計算は分析の過程であり、分析結果を読み取ることに重点を置いた指導を心がけたい。表計算ソフトウェアを利用して、数値入力だけで計算できるようにしたり、必要に応じて、使用する指標は減らしたりすことも有効である。

5 グループ発表の後の授業に、企業の経理担当者や公認会計士などからプロの財務諸表分析術など講義を取り入れると、さらに興味・関心を高めることもできる。